群馬青年ビエンナーレ2019出展作品。2400×2400のテーブルと椅子を一脚設え、腰掛ける鑑賞者の目の前に、一対の腕と字幕の映る映像を投影している。AS+ROとして、作家・添田朱音と初めて共同した作品。建築をバックグラウンドとし、人間同士の身体距離や関係について考え続けてきた添田と共に、投影された光に触れることと、投影された他者の指に触れることを重ねて考察した。美術品には触れてはいけないとされているが、投影された映像の光に触れることを咎めるものはいない。また、他者の指に触れることはしばしば特別な意味を持つが、この指は投影された光でしかない。映像に映る腕は字幕にしたがっているかのように見え、一連の動作を4回繰り返す。字幕は動きに関する端的な指示であり、「小指」「爪」「手首」などの指示対象が初めのうち空欄になっていることで、鑑賞者が自ら映像の手の動きと見比べ、意識のうちで補完して読むこととなる。そのうちに字幕の指示は動きに関するものだけでなく「見て」「憶えて」「視線をとどめて」など、鑑賞者の身体にも同時に作用するものになっていく。ひとつの字幕を介して、映像に映る身体と鑑賞者の身体が、関係を持ちはじめる。鑑賞者が映像の手に触れようとしても、光は指の上をかすめ、そこに指紋が残ることはない。
制作 : AS+RO
出演 : 奥泉理佐子

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